シュトーレンをみなさんはご存知でしょうか?クリスマスシーズンになると日本で姿を表すパン菓子の一種。その名前に秘められた歴史を探り、香り高い小麦粉、ドライフルーツ、そして洋酒に漬け込まれた奇跡の融合を追求してみましょう。クリスマスの訪れとともに姿を現すこの甘美なスイーツは、なぜ人々の心を捉え続けているのか。一口食べた瞬間、シュトーレンの魔法が始まります。
名前の由来や意味
「シュトーレン」又は「シュトレン」の名前は、古高ドイツ語の「stollo」から派生しています。これは、坑道という意味になります。「坑道」とは地下や洞窟、鉱山を掘って作った通路のことです。
確かに洞窟のトンネルのような丸みを帯びた形をしていますね。
また、粉糖で白く包まれたシュトーレンは、イエス・キリストの幼子が白いおくるみに包まれたイメージがされているとを言われています。
クリスマスの時期になるとドイツやオランダでは「クリストシュトレン」「ヴァイナハッシュトレン」という名前で売られます。
どんな食べ物
シュトーレンの主な材料には、小麦粉、ドライフルーツ、木の実、スパイスが含まれまれ、焼き上げた熱いうちにたっぷりのバターに浸したり、表面に塗りたくって、更に粉糖をこれでもかと言わんばかりに表面にまぶしていきます。
カロリー爆弾ですが、クリスマスにふさわしいご馳走の味と風味が味わえます。
一般的なシュトーレンはとても日持ちが良くその理由として
- ・ナッツや木の実、ドライフルーツなどの乾物を全体の60%使用
- ・洋酒に漬け込んだドライフルーツのアルコールによる菌の殺菌効果や増殖抑制
- ・表面の大量の粉糖による菌の繁殖に必要な自由水の抑制
- ・しっかり焼き上げられ水分も少ない状態
これらの理由が挙げられます。冷蔵庫など保管庫がなかった時代の知恵がふんだんに組み込まれているのがわかります。
ドイツでは、
・前文で説明した「ブターシュトレン」
・チーズを入れた「ワルクシュトレン」
・ケシの実を沢山使った「モーンシュトレン」
・マジパンを加えた「ペルシパンシュトレン」
など様々なシュトーレンが見られます。
歴史と起源
シュトーレンは14世紀のドイツにさかのぼり、パン職人の集まる組合が司教にクリスマスの贈り物とした記録があります。
初期のシュトーレンは今のようなバターやドライフルーツ、粉糖などを使うことはなく、簡単で質素な焼き菓子でした。というのもバターやミルクなどの乳製品は宗教上の関係で決められた期間でした口にできなかったため限られた食材でしか作れませんでした。
この状況を改善するためにバター禁止令廃止をザクセン選帝侯エルスストンらが訴えることに。その結果バターの使用を許可する「バター書簡」を見事獲得し、シュトーレンだけでなく色んな料理やお菓子にバターが使われるようになりました。
シュトーレンには特徴的な食べ方がある
シュトーレンは通常、クリスマスの季節に楽しまれます。アドヴェントと呼ばれるクリスマスまでの4週間はキリストの降誕をまつ断食期間とされており、クリスマスになるまで少しづつスライスして食べられていました。その名残りもあり、薄切りにスライスして食べるのが一般的です。洋酒に漬け込まれたドライフルーツやたっぷりのバターは、日が経つごとに生地に馴染んでいき味に深みが増していくそうで、今日よりも明日と味が美味しくなっていく楽しみもあります。
まとめ
シュトーレンの事を知ることができたでしょうか?クリスマスシーズンになると日本で現われるこのパン菓子はドイツでは一般的で愛されている伝統菓子だったのですね。
少量ずつスライスして食べクリスマスを楽しみにしながら待ち望む、子供の頃に戻れそうです。
ぜひみなさんもシュトーレンを食べながらクリスマスを迎えてみてはいかがでしょうか?